DAY1 - 最初のWORK DAY

 
2021年7月2日、金曜日。
 
完全なる時差ボケで朝4時頃目が覚めた。だが、それでも既に外は明るかった。
7月のロンドンは日が長い。下手すると21時前まで明るいので、羽田から常に明るい場所を渡ってきた自分の目は
チカチカしていた。
 
稼働日なので、次々と社用携帯に先輩方の”始業連絡”が入ってくる。
UKオフィスは週2回程度の出勤、あとは在宅勤務で運用されているそうだ。
 
私はというと、21年7月現在、日本から英国への渡航者は最大で11日間の自主隔離が義務付けられている。
更に入国2日目、8日目にPCR検査の受検が必要で、
5日目に任意でPCR検査を受検し陰性であれば隔離を終えてもよい、”Test to release”と呼ばれる制度がある。
つまり最低でも6日間は隔離生活を強いられるということだ。
仮に5日目に陰性であっても、8日目のPCR検査は受けなければいけない。
 
上記の制度上、到着日はDAY0とされているため
このノートも日付を思い出しやすいようにそのような表記にしている。
 
とりあえず会社のメールは見れるが、よく分からないため目星をつけたものを開封したりしていた。
また、在宅勤務用のPCセットアップやもろもろITインフラ周りを整えた。
東京とやり取りするものもあり、しかし向こうは既に夕方であるため時間との戦いである。
時差ボケで何が何だかよく分からず、東京が定時過ぎであるのに平気でメールを送ってしまったりして
後から読んで恥ずかしかった。
 
オフィスの方々は隔離されている私のことをよく気にかけてくださり、
午後にはホテル側の手違い(?)で手配されなかったWifiの代替品を
先輩がわざわざ届けて下さった。
その際、何か買うものはあるか?と気遣ってくださり、昼過ぎからに強烈な眠気に襲われていた私は
エナジードリンクをお願いし、買ってきてもらった。
 
数日慌ただしかったということもあり、たった半日でも外の空気に触れないと心が澱んでいく気がする。
家にいる間は気づかないのだが、Wifiを受け取りに外に出て、先輩と話したら恐ろしく気が晴れたので
そう思った。
 
この日はちょうど開催されていたウィンブルドンの試合やBBCのショーをテレビで観た。
 
イギリスのCOVID-19陽性者数は2万人/日を超えているが、ワクチン接種が進んでいるため
「陽性になる人は、ワクチン打ってない人でしょ?」とでもばかりに街中の人間は皆マスクをしていない。
レストランも通常営業しており、6人以下の会食は良いそうだ。
隔離先のアパートメント1階がパブなのだが、15時を過ぎるとテラス席が設けられ
続々と人が集まり、つかの間の夏を楽しむかのようにビールを飲み始めるのであった。
 
だが数字だけ見ると陽性者数は日本の10倍以上なので、かなり違和感を感じてしまう。
またワクチンが膾炙している中で私はNon-Vaccinatedなので、周囲と同じテンションで過ごすと
すぐに罹るなと思われ、少し怖く、届く郵便物やエレベーターのボタンもなるべく消毒したり手で触らないようにしていた。
 
画面越しに見る限り、ウィンブルドンの会場でマスクをしている人はほぼ皆無であった。
入場の際、PCR陰性証明書かワクチン接種2回目から2週間以上経過していることが条件になると聞いた。
日本でもワクチンパスポートが検討されていると報道されており、こんな形で運用されていくのかなあと思った。
 
ただ、ワクチンは個人の意思に関わらず健康上の理由で打てない人もおり
一様にワクチンパスポートで遂行可否が決まるのは打てない人が少し可哀想だなと思ったりする。
 
いずれにせよ自分は副作用は嫌だが(普通のワクチンでもダメージが大きいため、高熱は絶対に出ると思われる)
とっとと打ちたい派なので、NHSのワクチン接種のページを眺め、来週以降の手続きの段取りを考えるなどした。
 
頂いたエナジードリンクを飲み干したものの、強烈な眠気には勝てず18時頃には床についてしまった。