DAY4 - 食糧、届かず

7月5日、月曜日。隔離生活も5日目となった。
 
今日は朝早くに昨日頼んだTESCOのデリバリーが届くはずだった。が、9時を過ぎても連絡が無く
あれ?と思っていたら電話が鳴り、「デリバリーいつ取りに来るの?」と聞かれた。
しまった、私が選択したClick and collectというのは”店の品はCollectするが自分で店に取りに行かねばならぬ”方式だったのか。
一気に絶望の淵に落とされつつ、"Sorry I'm quarantine period for people from foreign country,
so I couldn't pick it up, I misunderstood it will deliver to me....."と力なく答え、キャンセルしてもらった。
(しかしこれを書いている今もキャンセル処理はされておらず、請求されないよう悲しみのプッシュメールを入れている。)
 
よくよくサイトを見ると、確かにお店の外にこのサービス用のBOXのようなものがあり、
事前にオーダーした品を配送員がお店から集め、そこから取っていく方式のようだ。
配送センターから自宅まで送られる方式は、最短でも3-4日は待たないといけないため、結局諦めた。
昨日先輩に買ってきてもらった食糧で命を繋ぐしかない。自分の生活力と英語力がミジンコ以下であるということが
よく分かってきた。日本ではほぼ使ったことが無かったが、UBERや他のデリバリーサービスを使えば、
自分は美味しいごはんにはありつけるのかもしれない。
 
会社のPCへの接続操作方法は教えてもらったものの、具体的に何をせい、何を見よということは
特に言われていない。誰と話すでもなく、ただ部屋にぽつりと自分だけがおり、よく分からないメールだけが
目の前を通過していくのはかなりメンタル的に厳しい。映画やYoutube、ゲームなど特段インドアな趣味に傾倒していない自分は
家に閉じ込められてしまうと途端に息が出来なくなるようだ。たったの5日だけでも十分閉塞感を感じることが出来ている。
必需品の買い物も出来ず、話し相手もおらず、ただ日が落ちるのを待つ状況はほぼ人権が無いと思った。
起きようと思っても力が沸かず、ご飯を食べる気力も無い。これから何をしたいという希望も浮かばない。
メンタルが枯れる第一歩、二歩くらいは確実に歩み出している。
 
たまらずお昼に夫に電話し、今朝の顛末を話して慰めてもらった。時差もあり、距離も離れている場所にいる人間を
気にかけてくれる存在があるというのは、大変に心強い。
 
夫に”先輩に甘いもの買ってきてほしいと頼めばよかった...”とこぼすと、そうか、僕は甘い言葉をかけることしか出来ないよ、
と言われ少し笑ってしまった。あまりシリアスに捉えないでいてくれることもありがたいことだ。
 
今夕、ボリス首相がイギリスのロックダウンを更に緩和すると発表した。
マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保が義務ではなくなるらしい。
既に街を歩く市民はほとんどマスクをしていないが、恐らく公共交通機関の中などの対応を指すのだろう。
現在バスや電車に乗るときはマスクの装着が義務付けられているが、バス停で乗り降りする人々を見ると
乗る直前にマスクをつけたり、降りた瞬間マスクを外して道端に捨てる人なんかもいる。
よほどマスクを付けることへの抵抗感が強いのだろう。
 
確かに、西洋の人間がマスクをしていると目ヂカラばかり強くて怖い印象を持つことがある。
西洋でよく使われる顔文字で:) や :(という具合に、目は同じで、口の変化で感情を伝えるものがある。
日本の顔文字は>_< や ^_^など、目の変化で感情の移り変わりを伝えるものが多い。
もちろん今はスタンプや絵文字がよく使われるので一概には言えないが、口の動きが分からない、見えないというのは
西洋の人間にとってコミュニケーションを行う上で致命的なのではないか、とふと思った。
 
明日は入国5日目の任意PCR検査がある。これで陰性となれば、晴れて隔離は終了、堂々と外を歩けるようになる。
一回目のPCR検査は無事陰性だったので、次も陰性となることを祈りつつ、今日は寝る。
 
やっとこさ22時近くまで起きられるようになってきた。今日はせっかく買っていただいたビールを飲むのも良いかもしれない。