DAY51 - 先輩の帰国と日本人コミュニティ

8月21日、イギリス到着後、何かと世話を焼いて下さった先輩が帰国してしまった。

 

隔離で公共交通機関が使えない私をヒースローまで迎えに来てくれた方のもその方で(

DAY0 - ロンドンへ飛ぶ - ネギーツィア日記)、慣れない海外生活を送る私を気にかけてくれ、仕事でもとても信頼の置ける方だったため、大変慕っていた。

ひよこは初めて見た鳥を親だと思う的なものなのだろうか。

 

先輩が仲良くしている日本人コミュニティに呼んでいただき、お食事をご一緒したり、ドライブに連れて行って頂いたり、そこから広がったご縁もある。

ご紹介頂いた方々が素晴らしい方ばかりで、部外者の私を快く受け入れて下さり本当に有難く思っている。

 

本社と比べてUKオフィスは少人数なため、ランチやディナー、休日のアクティビティ等比較的多くの時間を共に過ごす。

そのため、たった2ヶ月しか在任期間は重なっていないが、半年、いや、もっと長く一緒にいたような気がしている。

 

先輩の帰国に際し、寂しいという気持ちは無いものの、こちらでの実生活で心の拠り所にしていた一本の柱を失い、あぁこれで私は本当に独りなんだと実感させられてしまう。

 

先日先輩から頂いたプラムが冷蔵庫で冷えていて、一齧りした時硬かったので、そのまま置いてあった。

先輩の搭乗機が無事離陸したのをFlight radarで確認した後、PCを閉じて、冷蔵庫からプラムを引っ張り出して剥いていたら、手に伝わる冷たさも相まって、私は本当に独りだ....としんみりしてしまい、少し悲しくなった。

プラムはよく熟して甘くなっていた。

 

日本人コミュニティの中では、海外生活が非常に長い方もいる。

駐在で来ている方ばかりなので、イギリスで5年はざら、他の国を合わせると20年近くまで及ぶ人もいる。

ロンドンでは家族連れで駐在している日本人は西側のアクトン周辺に多く居住していると聞く。

だが意外と家族は日本におり、単身赴任している方も多い。

すると休日は一緒にゴルフやドライブ!となるため、海外生活が長くなればなるほど、家族以外の人間と対面のコミュニケーションを取る機会の方が多くなっていくのだ。

 

特にコロナ禍でロックダウンを経験し、共に過ごした人同士の連帯感は強い。

罰金を伴う厳しい外出規制がある中、同じ釜の飯を何度食ったか?もう忘れたよ、みたいな人もおり、そんな様々な世代の在英人が集まって共に行動すると、ふと見たときにまるで家族のよう、とさえ思ってしまった。

 

その中のお一方が言うには、海外生活は「来るもの拒まず去る者追わず」。

私のように期限付きで来て帰る者もいれば、在住が長くとも何らかの事情で急遽帰らざるを得なくなる人もおり、そのまま会えなくなったりすることもあるのだろう。

だからこそ、その人の経歴や所属、年齢に関わらず、今この瞬間フィーリングが合う人と良い時間を過ごそうよ、という意味だと受け取った。

 

一期一会なんて言うと手垢が付きすぎている気もするが、本当にその時会って、いつかふっと会えなくなってしまうことを実感しているからこそ、来るもの~をモットーに行動されているのだろう。

 

私は来年日本に帰るが、帰国した先輩は世界を飛び回っているかもしれない。

頂いた恩をきちんと返せたかどうか、返し方は独りよがりでなかったか、まだ、自問自答している。

 

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余談だが、普段オフィスでしか会わない方と外でアクティビティをすると、意外な一面を発見したり、逆に自分の気の回らなさや、自己中心的な考え方をしていることに気が付いて落ち込むこともあり、少し新鮮な気がした。

 

大学生の頃は私の未熟さから周囲と軋轢が生じ、反省し、自身の気持ちが揺れ動くことは多々あったが、社会人になった今、普段は私のことを熟知した夫と共に行動をしているし、友人と出掛けるときもお互いどのポイントに興味があり、どこまで行けるか(体力的に)ある程度察しがついているので、お陰様で大きなズレは無く過ごしていると思う。

 

そんなこともあり「必ずしも自分の”良い”は相手の”良い”にならない」ことを改めて認識したのだった。