DAY53 - ”コモン”について

一か月ほど前だが、ロンドンから南方面に向かう列車に乗ったら、Wandsworth common(ワンズワース・コモン)、Clapham common(クラパム・コモン)という駅を通った。

 

コモンというと公共の、共通の、という訳語が思い浮かんで来るが、どうやらこのcommonは何かの場所を表しているようだ。不思議に思って調べてみると、以下の記事に当たった。

 

www.british-made.jp

 

私が通った場所を表す「コモン」は、共同で使う用地という意味で使われているらしい。以下は上記ブログからの引用。

そこでは、何世紀も前からその共有地で誰かが自由に牛や羊を放牧していたりします。テムズ河畔ですと、王室の憲章で認められたCommonsというエリアも存在します。それぞれのローカル・コモンには、それぞれのルールやしきたりを遵守する範囲で、その地域の土地利用や運用に関わる人たちとの間で自由と秩序のバランスが保たれているのです。つまり、共有の関係を何百年にも渡って続けていくから伝統となるのであって、近隣住民の同意を得たコモンセンスとして成り立つのです。

土地を利用する人の中で共通のルールがあり、それが守られていたということで、日本で言う昔の入会地みたいなものだろうか。

 

現代では管理する主体が利用者から行政に変わり、公園のようになっているが、例えばロンドン南東部にあるPeckham Rye Park & Common(ペッカム・ライ・パーク&コモン)では、commonとparkが併記されていて、明確に異なる概念として名に残っていると推測される。

 

ところで、夏目漱石は今からおよそ120年前、文部省のアレンジでイギリスに留学に来ており、ロンドン大学に通っていたらしい。一時期テムズ川の南のClapham common近くに住んで、通っていたという。

ロンドン大学テムズ川の北側、Tottenham court roadやSouth Kensington辺りに校舎があるはずなので、川を越えてそこまで通っていたとは.....

電車であれば乗換駅のVictoriaまですぐ着くけれども、徒歩や自転車だと1時間以上は確実にかかってしまうと思う。

 

日本に居た時は夏目漱石に対して何の親近感も湧かなかったけれども、異国の地で、多少なりとも孤独を感じて(漱石は神経衰弱に陥って強制帰国させられたくらいなので、私の比ではないと思うが)過ごしていたのだと思うと少しシンパシーを感じた。

 

ということで、今日はコモンに関する紹介でした。

 

今回参照したURL:

「英国人のふところの深さはコモンセンスから」BRITISH MADE

https://www.british-made.jp/stories/lifestyle/2015021800260

「家とまちなみ」No.54 郊外住宅地の未来4 - 良い住宅地の条件【オープンスペースとコモン】

https://www.machinami.or.jp/pdf/machinami/machinami054_16.pdf

「Clapham common」Lambeth Council

https://beta.lambeth.gov.uk/parks/clapham-common

*上の(シティ)カウンシルとは、地方自治体の意。